妄想の王さま

ジジ可愛い

書欲ブログと金欲ブログを昔話風に語ってみた

その昔、ある村のお話。

手斧をもった村人たちが暮らすのどかな村があった。村人はのんびりと暮らしていた。ある日のこと村人の一人が湖で漁をしていると湖の底から透明な玉を見つけた。その玉は磨けば磨くほど光を放った。村人はこぞってガラスの玉を拾っては磨くことに熱意を燃やし、誰の玉が一番光っているのかを競いあって暮らしていた。

ガラスの玉を磨くのが上手い奴が自然と生き残り、他の村人は誰のガラス玉が一番光っているのかをコメントしあった。

そのころ都会ではガラス玉を磨くのではなく人々の望む形のガラス玉を作っては金を稼いでいる連中もいた。しかし粗製乱雑のガラス玉で溢れかえってしまいレッドオーシャンと化していた。

そんなある日、ガラス玉が商売になると目をつけた男がいた。名はハヤト。彼はガラス玉の色んな性質を見分けて様々な手法で都会の人に見せて回り金を稼いだ。

時はたち、ガラス玉を見たがる人はどんどん増えていった。しょぼいガラス玉でもありがたがった。

するとハヤトの噂を聞きつけた素人が村に大挙して押し寄せるようになった。彼らはハヤトを真似てガラス玉を売ろうとした。彼らのやり方はいわゆる二番煎じでどれもこれも拙いものだったが都会の人達はそれでも良かった。

玉磨きを生きがいにしていた男たちは面白くなかった。都会の人がそれでもいいというのはしょうがない。しかし二番煎じで磨く技術もないくせに金を稼いでいることを自慢しているのが許せなかった。

しかし二番煎じに続けとやってくる人たちにはとって二番煎じのやり方は見本になり、それにも人が集まった。

玉磨きを生きがいにしている男たちにある男が言った。「二番煎じたちは玉を商売に活かそうとしているだけさ。都会での商売の技術は磨かれるかもしれないがいつかレッドオーシャンになって自滅するよ。生き残るのは1割もいないし、そいつらもある程度稼いだら飽きるさ。そして彼らには次の玉を探して右往左往する。斧なんて投げる必要はないんだ、だって彼らにはその斧は当たらないんだから」